Interview

ものこい対談 Vol. 4

2023年6月

堀井 哲平 Design&WEB direction

今宵も酒場で、ほろ酔いの高畑とものこいメンバーが制作秘話を語り合う。
今回は、WEBデザインを担当した堀井哲平との対談の様子をお届けします。

「堀井さんの活動について」
~東北の食文化を世界へ~

高畑

まずは、乾杯から。今回はよろしくお願いいたします。

堀井

お願いします。

高畑

まずは、最近堀井くんがやってる面白そうな仕事について聞いていきたいのだけど、
青森の方で煮干しを使ったキーマカレーの『ニボキーマ』と煮干しを使ったナポリタンの『ニボリタン』っていうのを作ってるんだよね?これはそもそもパッケージのデザインを担当していたの?。

堀井

そうですね。これは元々ジャスティンコーヒーという青森にあるカフェで出していたメニューなんですよ。うちの会社でやっているアパレルブランドの卸先の方がジャスティンコーヒーオーナーの友人だったことからワークショップとか展示会があるとコーヒーを入れてもらうっていうようになっていったんです。

高畑

そうだったんだね。

堀井

初めて食べた時からすごく美味しいなぁって思っていて、これを通販で全国の人に届けようかっていうかっていう話は出てたんですけど、その時はタイミングが合わずに時が流れていったんですよね。それがコロナになって、仙台で飲むことがあったんですけどその時に改めて『通販を本格的にやりたい』という相談をもらってそこから進展がありました。

高畑

煮干しそのものに注目したのはジャスティンコーヒーさんだったんだね。

堀井

そうですね。オーナーの平野くんが始めました。

高畑

元々、青森って煮干しラーメンもすごいよね。

堀井

そうですね。道には人がいないですけど、煮干しラーメンのお店ばかり混雑してますね(笑)

高畑

煮干し文化って、仙台にはあんまりないんだけど、僕の出身の秋田では、煮干しからとった出汁で味噌汁を作ったり盛んなイメージだけど、堀井くんのところはどうでした?

堀井

僕の実家もそうでした!煮干しを頭からボリボリたべていましたよ(笑)

高畑

はらわたと頭をちゃんととって、出汁をとってたよね。よく母親に手伝わされたよ。
青森で煮干って最初はイメージなかったけどやっぱり東北では盛んなのかな?元々は南の方の文化のはずなのに不思議だよね。

堀井

そうですよね。でも改めて取材をしてみると小さい時から馴染みがあってみんななんでも出汁をとる。そこからラーメンでも使われるようになったって流れがあるみたいですね。
だから煮干しを食べるっていう文化は青森の人たちにはしっかり根付いているみたいですけどね。だからこそこの煮干しのカレーやナポリタンもちょっとずつ受け入れられるようになっているんだと思います。

高畑

なるほどね。いただきましたけど、すごくおいしかったです。

堀井

ありがとうございます。

高畑

改めて僕も気になって色々調べてみたんだけど、こういう煮干し味とか食って小さいころから食べてないとダメなんだって。

堀井

そうなんですね。

高畑

だから青森とか秋田とか東北では人気が出るだろうね。あとは西のほうかもしれないね。煮干しの発祥は九州とかそっちの方らしいよ。

堀井

そしたら西日本のほうが売れるかもしれませんね。

高畑

あと東京は全国からいろんな人が集まってるから受け入れられるだろうね。すごい濃い煮干しラーメンもあるくらいだしね。

堀井

あのドロッとしたやつですよね。

高畑

そうそう!改めてなんでこんな話をしたかというと、ビジネスとしてもすごく興味があるんだよね。こういう何かに特化した食文化を発信してるというのは面白いよね。前にここで話したときにオンラインを通して食文化やデザインを広めていきたいって話してくれたけど、今回ニボリタンやニボキーマを発信することで何か感じた事はありましたか?

堀井

僕らは元々デザイン事務所なので受託が多かったことから、自分たちのブランドを持ちたいという考えがありました。今回のニボリタンで大きかったのは、元々平野くんの商品だったものですがパートナーシップを結んで一緒に広めていくことは、お互いにとって大きなメリットだと思います。僕たちもデザインやECの部分を専門としてやっているのでお互いに宣伝しあったり、ネットワークを使って売っていけるのは良い点だと思います。今で言うレベニューシェアって形になるんですけど、こういう取り組みって作って終わりというデザインではないので、そういう意味でも新しい仕事の形としてお互い伸びていけるんじゃないかって考えています。今ではこの取り組みをきっかけに色々なことに広がって行っています。

高畑

なるほどね。イーコマースが世の中に出てきたときにローカルの小さい商店とかデザイナーさんが伸びてくるっていうのは聞いてたのでそれを近い人がやってるのは面白いよね。それに発祥は青森の商品だけど製造は秋田の食品会社さんだし、PRやデザインをしてるのが堀井くんの仙台の会社というように東北をまたがっているのもいいよね。

堀井

ありがとうございます。仰る通り僕も東北育ちなので、これからは東北の食を世界に発信していきたいなぁと思ってます。

高畑

すばらしいですね。私の提案としては、大阪より西に出していくというのは有りだと思うんだよなぁ(笑)

堀井

実は今、『ベイサイドプレイス博多』っていう船着き場がある館があるんですけど、そこの一角があいていたのでなんかやってほしいという事を館側に頼まれたんですよ。それがきっかけで雑貨や家具や食雑貨などいろんなサスティナブルなものを集めて置いたりしてたんですけど、僕の活動を知っていてくれた人が東北の食のコーナーを持ってほしいという事になってすでに始めているんですよね。

高畑

そうだったんだね。

堀井

Brooklyn Garden(ブルックリンガーデン)の一角なんですけど、今人気の雑貨とかがある中に東北の食雑貨を集めている形です。まだ東北の食に馴染みがある人が少ないというのも聞いていたので良い機会になりました。3月からスタートしてるんですけど、東北6県のものが全部入るようにうちの方で声をかけて商品を出してくれる人を集めました。さっき仰っていただいたように九州なので味があうかどうか試したいなって思いもありました。

高畑

面白いと思う人多いとおもうな。あと九州の良いところはインバウンドが多いことだよね。韓国を中心にアジアの観光客が多いんだよね。だから九州に来て東北のものを買っていくという面白い現象も起きそうだね。

堀井

そうなんですよ。実際にポップに韓国語入れて欲しいっていう要望もありました。

高畑

それもそうだし、パッケージとかのデザインもアジアの方々に向けたものに変えていくのも面白いかもね。これからも注目していきます。

堀井

そうですね。こういう活動も今色々やっていて、楽しんでますよ!

「ものこいのクリエイティブ」
~何がウケるかわからない現代への挑戦~

高畑

無理やり紐づけるわけではないんだけど、『何がウケるかわからないから面白そうなことはやっていこう』というのが、前に飲んでいるときに堀井くんと共感している部分だと思っていて、今回の『ものこい』のプロジェクトのデザインをお願いさせていただいたわけですが、
改めて高畑が音楽をやる。CDを出すってなったとき率直にどう思いましたか?

堀井

衝撃でした(笑)一昨年の年末でしたよね。昔バンド活動をしていたのは知っていたのですけど、改めて衝撃でした。でもそのトライするという想いはすごいなぁって思いました。

高畑

堀井くんにはその都度、相談させていただきましたね。中でもジャケットの案を決める時に青山トキオくんを紹介してくれたのは堀井くんだったと思うんだけど、彼を選んだ理由ってなにかあったりするんですか?

堀井

そうですね。まずは詩から先に作ったというように聞いていたので写真よりもイラストのほうが創造性は高まるのかぁって思いました。そこから作家さんの候補が何人かいたのですがその中でもトキオくんが一番詩の世界観を表現できるんじゃないかって直感的に思いました。

高畑

実は紹介されるまで、青山トキオという存在を知らなかったんだけど、ネットで検索して初めて見た時、作品のパワフルさに衝撃を受けたんだよね。それだけでなく自分の通ってきた60、70、80年代の音楽の中でも好きなジャケットから影響を受けているようですごく近いものを感じたんだよね。実際そうだったというのも後のインタビューでわかるのだけれどね。ピンクフロイドとかサンタナとかのジャケットに触発されていたって聞いて、妙に納得したんだよね。あのプリミティブな力強さって衝撃的だよね?

堀井

そうですね。僕が彼に初めて会ったのが15年くらい前なんですけど、それこそJAZZY SPORTってレーベルが安比でやってるイベントで初めて彼の作品を見たんですけどすごく衝撃的でした。作品に圧倒されたんですが、色々話していたら同い年で出身が同じ秋田だったことがわかって、僕らのメンバーもトキオくんと仲良くなっていったので定禅寺ストリートジャズフェスティバルのアートワークをお願いしたりしました。そんな縁なので何か一緒にやりたいって想いがずっとあったのと、彼の絵はお父さんから影響を受けたってことも聞いていたのでそういうところの理解も深いんじゃないかなっていう考えもあり、これはトキオくんしかいないって思いました。

高畑

なるほどね。

堀井

ただ、今までの作風って人物がメインなものが多かったのでちょっとどうかなって思いながらも楽しみにしつつ、お題を僕から投げさせてもらいました。

高畑

そこなんだよね。これは僕がソウルとかヒップホップよりだったらこれでOKってなっていたんだけど。これを日本の歌謡曲やポップスに落とし込んだらどうなんだろうって楽しみな部分は大きかったよね。でも三人でオンラインの打ち合わせをしたときに彼がずっとニコニコしていたからこれは絶対大丈夫だなぁって思いました。彼の中で何か確信があったんだろうね。

堀井

そうですね。もちろん事前に音楽を聴いてもらっていたっていうのはあると思うんですけど、トキオくんの中ではすでに何かをつかみつつ、確認の作業がミーティングって感じだったのかもしれませんね。本当に普段描くものと違うテーマだと思うんでそこはすごく楽しみでした。最初相談した時もやったことないジャンルだけどやってみたいってすぐに行ってくれたんでそこは嬉しかったです。

高畑

実際すごく良かったよね。途中からMVもマルコくんとかにお願いして作ってもらっている最中も別パターンで夕暮れのものをお願いしたらまたいいものができたよね。このジャケットをベースにいろんなものに発展していったのもすごく良かったよね。

「プロデューサーとしての想い」
~人と人とが繋がるものづくりを~

高畑

堀井くんにはMVのことなど全体のプロデュースをお願いしたのだけど、やりながらなにか思うところはありました?

堀井

映像に関してはマルコくんと元々のアイディアの部分から相談していたので監督は彼が適任かなぁと思いました。イラストをベースに昼の絵から夜の絵に代わるアイディアを出してくれたり、僕も一緒にやりながら楽しみな部分が大きかったです。こういう発想があるんだという感じで新たな気付きをすごくもらいましたね。

高畑

なるほどね。今回、音楽を作ることまでは考えていたのだけど、MVのところまでは当初考えていなかったんだけど改めてトキオくんのアートワークから色々飛躍してMVまでできたことは面白かったよね。改めてクリエイティブってお互いに触発されていって良いものができるんだなぁって思ったね。僕が詩を書いて、箭内くんと飛夢くんが音をつけてくれて、それをバンドメンバーがアレンジして完成した音楽にトキオくんが触発される、それにマルコくんが触発されてMVができる。これはいい連鎖だよね。音の部分までのプロデュースは箭内くんだったけど、そこからは堀井くんにお願いできて良かったよ。

堀井

ありがとうございます。でも見ていて自分が一番楽しんでました(笑)

高畑

何よりです。僕も楽しかったです
今後はいつまでに何を出さないといけないというのはないのでゆっくり皆さんに聞いていただけるように活動していきます。
改めて堀井くんはいろいろと手がけているものがあるみたいですが、今後どのようにしていきたいみたいなものはありますか?

堀井

そうですね。やっぱり自分の商品を持つという事には力を入れているので、知人のラーメン屋さんのお土産品を開発したり、誰かと一緒にやる。それで喜んでもらうっていう事をやっていきたいです。

高畑

人と人をつなげながら商品を生み出していくという事だよね。

堀井

そうですね。

高畑

それは、我々二人はずっと似ているのかもね。告知だけっていうのが嫌だなと思ってこの業界に入ったのだけれど、やっぱりお客様とか実際に手に取ってくれる人と直接つながるときに自分って何ができるんだろう、自分の会社って何ができるんだろうって想いが根底にはあるよね。

堀井

音楽もそうですけど、食もこれを食べて喜んでもらおうっていうのが大前提にありますよね。音楽もこれを聴いて感情が動いてもらったら嬉しいとかそういう想いのこもったものを生み出していきたいですね。

高畑

そうですね。これからも素敵なものを生み出していきましょう。今回はありがとうございました。

堀井

ありがとうございました。

高畑和久とmonokoi
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